高校時代まで過ごした北海道。

「アイヌ」の言葉は盛んに耳にしていたが、あまり近さは感じなかった。まして歴史の嫌いな私には縁が遠かった。

それがラジオから流れるダイナミックで異国ムード溢れた「イヨマンテの夜」を聞いて虜になったのを覚えている。

当時、歌手「伊藤久男」が歌って一世を風靡した「イヨマンテの夜」は古関裕而の作曲によるが、小学校・中学校と野球少年だった私は、ラジオから同じ古関裕而作曲の全国高校野球大会歌「栄冠は君に輝く」も流れていたのも記憶している。

後になって知ったことだが、この二つの作品の発表は同じ作曲家、同じ歌手による発表で、同じ1949年だった。

アイヌとは?

「その昔、この広い北海道は 私達先祖の、自由の天地でありました 天真爛漫な稚児のように 美しい自然に抱擁されて のんびりと楽しく生活していた彼等は まさに自然の寵児 なんという幸福な人たちであったでしょう。(知里幸恵「アイヌ神謡集」より)

「アイヌ」とはもともと人間を意味するアイヌ語で、北海道や東北北部、サハリン南部、千島列島に住んだ、独自の言語と文化をもつ先住民族である。

ポロトコタンとは、アイヌ語で「大きな湖の村」の意味。白老に昔からあったアイヌ集落を1965年、アイヌ文化の普及・公開を目的としてポロト湖畔に復元された。


民族博物館入口

←入るとすぐ目の前に大きな像が現れる。

コタンコルクル(むらおさ)像だ。このコタンの長とあって、それを象徴するように巨大で、訪れるお客を正面で威厳を持って迎えている。

 


その脇にはヒグマの檻がある。

ヒグマの檻の次には、アイヌ民族博物館の旧館、その奥にはこのコタンでもっも大きなアイヌ民族博物館の新館が並ぶ。

そして左手奥にはコタンが広がるが、通路の左右にはヒグマの像が門番よろしく立ちふさがっている。

 

これより奥に向かって復元された5軒のチセ(茅葺きの家)が並んでいる。

 

5軒のチセではそれぞれ次のような公演や展示がされている。

 サウンチセ(手前の家) − 古式舞踊の公演

 オトゥタヌチセ(次の家) − 古式舞踏の公演

 ポロチセ(大きい家)   − 貸衣装・伝統工芸・儀式

 マクンチセ(奥の家)   − 古式舞踏の公演

 ポンチセ(小さい家)   − 伝統工芸

 

これらを順に見ていくことにする。

サウンチセ(手前の家) − 古式舞踏の公演

サウンチセの前にある倉庫 − 高床式だ。

3軒のチセで、お客が集まり次第公演されてるらしい。

2軒のチセが高校生の修学旅行のため貸し切り予約になっていると言うことで、このチセの公演に案内された。

ちなみにどのチセの公演も同じらしい。

 

中に入ると、一つの空間になっており、一隅に公演用の舞台。それをL字形に囲んだ土間に、観客用の長椅子が用意されてる極めて質素な造りであった。

舞台中央には囲炉裏があって、その真上にはアイヌの貴重な食料である鮭(左上写真)がたくさん下げられていた。

囲炉裏からの立ち上る煙によって、おいしい薫製が出来上がるのだという。

これを、サッチェプ<鮭の燻製>と言うのだそうだ。

 

それを物語るように、吹き抜けの天井裏は、囲炉裏からあがる長年の煤によって真っ黒になっていた。

アイヌに受け継がれている古式舞踊の公演の一部が次である。
国の重要無形民俗文化財にも指定されている白老地方のアイヌ古式舞踊 ムックリ演奏:アイヌ民族楽器であるムックリ(竹製の口琴)を演奏 ヤイカテカラ<哀唱歌>:樺太や北海道の一部で歌われた即興歌で、民族楽器のトンコリ(五弦琴)を演奏しながら歌う。
トンコリヘチリ<トンコリ伴奏の歌と舞>:トンコリを伴奏に樺太地方の歌と踊り。 イヨマンテリムセ<熊の霊送りの踊り>:アイヌの最も重要な儀式である熊の霊送りの神事などの際に、集まった人々が輪を作り輪唱形式で歌いながら踊る。 エムシリムセ<剣の舞>:二人の男性が刀(エムシ)を振りかざし、大地を踏みならしながら悪い神を追い払う踊り。
オトゥタヌチセ(次の家) − 古式舞踏の公演


このチセの公演は、修学旅行生の予約になっていた。
ポロチセ(大きい家) − 貸衣装・伝統工芸・儀式
「大きな家」を意味するこのチセは、アイヌの貸衣装や生活用品、伝統工芸の実演など、アイヌの民族文化に触れられるチセであった。

この材料、聞いたのだがメモ忘れでわからない。

左 アイヌ民族楽器であるムックリの材料

右 試奏する制作者

マクンチセ(奥の家)   − 古式舞踏の公演
このチセでは、すでに修学旅行生向けの公演が始まっていた。
ポンチセ(小さい家)   − 伝統工芸

 

ポンチセの前には、薬用・食用に使われる植物が栽培されていた。

残念ながら2つの違いはよくわからない。

 

そして脇には、屋根や壁に使われる材料が

来た方向を振り返る。右手はポロト湖だ。

案内に立っていたマッカチ(女の子)と記念撮影。むろん言葉は標準語だ。


ポロト湖に浮かんでいたチブ(丸木船)


丘にあげられ陳列されていたチブ

我々が見た公演で、司会兼説明・舞踊を披露してくれた人と記念撮影。

彼は数少ないアイヌの直径子孫と名乗っていたが、さすがにアイヌの知識が豊富であるだけでなく、説明のポイントを捉えていて、時折ユーモア交えての話術は、軽快なテンポで、すぐさま人の心を引き、見事であると同時に親近感溢れるものだった。